笑う窓から

雑ログ

リモートの会話を全世代に分かりやすく伝える技術「イッテQ」

日曜日夜20時に放送されるバラエティー番組「イッテQ」。同時間帯の番組の中では全世代が見やすい家族向けのバラエティー番組です。長年高視聴率を記録している化け物番組ですが、リモート収録になっても改めて化け物番組だと感じました
リモートを感じさせないような工夫がいくつも施されており、相もかわらず家族で楽しめるテレビ番組になっています。

今、様々なバラエティ番組がコロナ影響下で変化しており、再放送や総集編が多く放送されていますが、新しく撮影しないといけない場面では主に3つの形を取っています。


・スタジオメンバーを減らして距離を取って会話するソーシャルディスタンス型
・メインMCがスタジオに残り残りのスタジオメンバーはテレビ電話で会話するスタジオ×テレビ電話型
・スタジオメンバー全員がテレビ電話で会話する完全リモート型


イッテQはスタジオ×テレビ電話型を取っていますが、少し特殊でその形を最大限に活かす編集がなされていました。

スタジオトーク画面配置の妙

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左画面半分に映し出されるスタジオにはメインMCの内村さん一人。右画面半分にはいつもスタジオで座っているレギュラーメンバーが電話で会話している様子をLINE風に施された画面配置になっていて、「シュポッ」という音と共に下から上へ会話が流れていきます。

これは、イッテQでしか見たことがないスタジオ×LINEトーク型です。文字として会話を起こすことでテレビ電話の映像を使わなくても「会話」が表現できます。LINEのトークという国民に慣れ親しんだレイアウトを使うことで、違和感なく会話を聞くことができるし、LINE風のプロフィール画像を使うことで喋っている人を明確にしています。

そして、メインMCの内村さんを左画面に常に映すレイアウトにすることによって、

内村さんが話を振る→レギュラーメンバーが話し始め右画面に会話が流れる→内村さんがツッコむ

という流れが綺麗に一画面で収まります。テレビ電話だと次々に映像を切り替えないといけないので、統一感が無くどこかごちゃごちゃした雰囲気になります。

リモートに求められる「スムーズな会話」

テレビ電話では、各家とスタジオを繋いでいるので、どうしても会話に時差が生まれてしまい、どこか違和感のある会話になってしまいます。そこで、同じ空間で会話しているような滞りなく会話をしているスピード感を表現しなくてはなりません。
その時差を編集でカットすることでスピード感のある会話を表現できますが、各家で喋っている映像を使って時差をカットするとその映像がぶつ切りの連続になってしまい(よくあるYouTuberのカット編集のような)、これまた違和感が生まれてしまいます。

しかし、LINE風のレイアウトにして時差をカットすると、カットされた映像を使っていないので違和感が生まれず、自由に音声の切り貼りができるようになります。次から次へと会話が流れるように時差をカットして、LINEのトークのような下から上へ文字が流れる編集をすることで、視聴者はスムーズに会話を聞くことができます。

文字のレイアウトで感情を表現する

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笑いどころであるボケやツッコミがあると文字のスタイルを変えることで、簡単に強調することができます。太字にして大きく見せるだけではなく、明朝体やゴシック体など文字の形を変えることでまた違った表現ができます。

このような表現をすることで、笑いを増強させやすいし、何より映像がない中での感情が視聴者に伝わりやすいです。

この手法が進化すると、色を変えたりもっと派手な文字のスタイルになったりと、様々な表現の幅が増えます。映像を使わない代わりに文字で感情を表現するという手法は画期的だと思いました。

NEWS手越祐也をいじるナレーションや出川イングリッシュで出川さんの発言を繰り返す編集など、リモートになる前からイッテQの編集は面白いなと思っていましたが、リモートになってスタジオトークを変化させなくてはならない状況でも編集能力が高いなと思わせるイッテQは凄いなと思いました。

これからもさらなる進化を遂げるテレビ業界ですが、バラエティー界で先頭に立っている番組を詳しく見てみると高視聴率を維持している秘密がたくさん隠されていました。

他の番組も詳しく分析してみると違った面白さが発見できるかもしれませんね。

ここまで読んでくださった方はありがとうございました!